されど愛しきお妻様
取調室で完全に打ちのめされたので
あてどもなく街を徘徊しては
「自分の居場所は無いものか」と
悲嘆にくれる。
変わらなければならぬのは
周囲ではなく自分だと分かっていても
正直どうすれば良いか分からない。
何をやっても無駄な気がして
例えば資格の勉強など、
全く身が入らないのは昔からだ。
何をするにも不器用で
能あることは書くことくらい。
それだって品質を保証されたものではない。
どうやって生きていけばいいのか、
いよいよ分からなくなってきたところで、
たどり着いたいつもの書店。
そこでとんでもない本と出合う。
されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間
- 作者: 鈴木大介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あまた出版されている発達障害の当事者本の一冊かと
最初はスルーしようとしていた。
当事者本は正直苦手だ。
「周囲の『理解』で」
「才能を磨けば云々」
いやいやちょっと待った、
個性を障害たらしめる苦しみの部分は
置き去りですか?
特異な才能を持たない多くの凡人障害者は
どうすればいいのですか?
(鬱などの)二次障害を抱えちまったら
手遅れですか?
と思ってしまう。
ただ、本書は違っていた。
以上の疑念に全て答えているだけでなく、
当事者、非当事者、いずれが読んでも
共感し得る普遍的な愛に満ちた一冊だった。
ブックレビューは苦手なので
詳述は避ける(書き手の怠慢)。
かつてのベストセラーの帯で言うところの
「泣きながら、一気に読みました」だった。
映画化されるなら観てみたい。
喫茶店で読まなくて本当に良かった。
自分の問題は何ら解決していないが、
昨日本書を読んだ意義は大きかったろう、
と信じている。