されど愛しきお妻様

取調室で完全に打ちのめされたので

あてどもなく街を徘徊しては

「自分の居場所は無いものか」と 

悲嘆にくれる。

変わらなければならぬのは

周囲ではなく自分だと分かっていても

正直どうすれば良いか分からない。

何をやっても無駄な気がして

例えば資格の勉強など、

全く身が入らないのは昔からだ。

何をするにも不器用で

能あることは書くことくらい。

それだって品質を保証されたものではない。

どうやって生きていけばいいのか、

いよいよ分からなくなってきたところで、

たどり着いたいつもの書店。

そこでとんでもない本と出合う。

 

されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間

されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間

 

あまた出版されている発達障害の当事者本の一冊かと

最初はスルーしようとしていた。

当事者本は正直苦手だ。 

「周囲の『理解』で」

「才能を磨けば云々」

いやいやちょっと待った、

個性を障害たらしめる苦しみの部分は

置き去りですか?

特異な才能を持たない多くの凡人障害者は

どうすればいいのですか?

(鬱などの)二次障害を抱えちまったら

手遅れですか?

と思ってしまう。

ただ、本書は違っていた。

以上の疑念に全て答えているだけでなく、

当事者、非当事者、いずれが読んでも

共感し得る普遍的な愛に満ちた一冊だった。

ブックレビューは苦手なので

詳述は避ける(書き手の怠慢)。

かつてのベストセラーの帯で言うところの

「泣きながら、一気に読みました」だった。

映画化されるなら観てみたい。

喫茶店で読まなくて本当に良かった。

自分の問題は何ら解決していないが、

昨日本書を読んだ意義は大きかったろう、

と信じている。