移行できるかな②

迷走生活も悩んだ挙句、

障害者の就労移行支援事業所の体験利用を始めた。

朝まともな時間に家を出て

通勤ラッシュのバスに乗り、見ず知らずの人たちと

集団生活を行うということにまず意義がある。

初日から疲れてしまったが、

いずれ慣れていかねば社会復帰は覚束ない。

 

スタッフさんの説明は一つ一つが丁寧で、

立ち止まりながら指示を出してくださる。

初めての環境で、これほど落ち着いて説明を聞き

何かに取り組めたのは初めてかもしれない。

それでも、手先の不器用さゆえの不安から、

ボルトを締める、クリップを留めるといった

「軽作業」も精神的に重荷であり、

ややパニックにはなってしまうのだが…

(実際の出来も良いとは言えない)。

それでも電話応対やデータ入力といった訓練には

おおむね平常心で取り組めた。

仕事の向き不向きをはっきりと再確認したのだった。

 

正直なところ、自分の状況について

「ここまでする必要があるのか?」

(=健常者として普通に就活した方がいいのでは)

という迷いはある。ひたすらボルトを締めながら

(うまくナットを掴めなかったりしながら)

「何でこんなことをしているのだろう…」と

悲しくもなるのだが、今は妙なプライドを捨て、

自分の置かれた現実を受け入れつつ、

その現実を少しでも良い方に変える努力を

しなければならない時期なのだろうと思う。