包み隠さず(移行できるかな③)

就労移行支援事業所の体験利用2日目。

私の苦手とする手先を使う分野の作業訓練が続く。

今回は箱のラッピングである。

シンプルな「キャラメル包み」だが、

一つ一つ工程を追って丁寧にやろうとすると難しい。

いや、私にとっては無条件に難しい。

手先のヨロシクない私に簡単な作業など無いのだ。

 

特にラッピングには輪をかけて拭い難い思い出がある。

一時期書店でアルバイトをしていたのだが、

プレゼント用に絵本などのラッピングを頼まれる場面は

意外に多かった。ラッピングの依頼は私にしてみれば

恐怖でしかなく、先輩からやり方を教わったものの、

お客様はお待たせするわクオリティは「お察し」だわで、

終いには「お前はやらんでいい」と諦められる始末。

バイトを早々に辞める一因となった。

 

で、今回もダメだった。

先輩よりも遥かにやさしいご指導と、

丁寧な指示書をもってしても、

私の不器用さでは如何ともしがたかった。

幸いだったのは、今回は先輩もお客様もいないこと。

せっかくの機会なので、一応最後まで完成させて帰りたい。

何枚も紙を無駄にしながら、じっくりと試行錯誤を

繰り返すことが出来た。

 

この環境の良いところは、一般社会でどうしても必要になる

「できる人のふり」「できない部分隠蔽・矮小化」の

パフォーマンスが全く不要で、ダメな自分を安心して

さらけ出すことができること。できないことが山ほどある癖に

学歴はご立派なせいで周りの要求水準が高くなる私は、

このパフォーマンスに随分と命を削り取られてきた。

もうそんなのは御免で、なるべく包み隠すことは少なく

ありのままに生きていきたいのである。