たかがおしぼり(移行できるかな④)

就労移行支援事業所の体験利用は4日目である。

事業所のルールや雰囲気にも慣れてきて、

ほぼストレスなく一員になっている。

色々な訓練を体験するうち、

「これはできるがそれはちょっと」という

得手・不得手が鮮明に分かるようになってきた。

プレッシャーの少ない「やさしい」環境ゆえ、

外部要因を抜きにして冷静に自分を観察できる。

 

私の場合、報連相など職場でのコミュニケーション能力に

疑問符がついたことが発達障害診断の契機だったが、

そこまで酷く自分の能力を否定するほどでもないな、

というのが実感である。

コミュニケーションを取ること自体を

苦手としているわけではないし(むしろ好きだ)、

環境に左右される面は大きいと思う。

 

苦手意識のあったパソコン操作(表計算など)も、

周りの目を気にしてデキる振りをしたりと

今まで真面目に勉強してこなかったのが悪いので、

地道に練習を重ねれば何とかなりそうだ。

データ入力も割と速くて正確だったのは、

ガサツで散漫な我が性格を考えると意外だった。

 

一方、やさしい環境でもどうにもならないのは

とにかく手先を使うこと全般である。

今日は「おしぼり」を畳んで袋詰めするという

実に単純な訓練だったが、全然できなかった。

何度畳んでもズレている気がして不安になり、

直せば直すほどズレは拡大していく。

指は硬直し、袋は開いてくれない。

焦りは身体の火照りや震えに現れ、脳内では

架空の上司が「全部やり直しだ!」と怒鳴りつける。

傍目からは別にそうは見えなかったらしいが、

私の内心はおしぼりごときで大パニックだった。

 

もし就職するにしても、手先を使ってお金を得る

仕事全般はやめた方がいい。

それでも、メインでなくとも職場の色々な場面で

手先を使うことはあるわけだし、家事というものも

完遂せねばならないことを考えれば、

このやさしい環境下で失敗を積み重ねながら、

少しずつ苦手意識を緩和していった方が良さそうだ。